成績を伸ばす上で最も必要なものとは
仕事柄、色々な生徒さんを見てきましたが、その中でもこの子は成績が伸びるなと感じる生徒さんが持つ共通の特徴が分かってきました。それは、学習の際に『好奇心を持っている』ということです。当たり前過ぎてなあんだ、という方もいらっしゃるかと思いますが、学習に好奇心を持って臨んでいるかどうかによって、結果は雲泥の差となります。
まず、好奇心がある状態とはどういう状態でしょうか。これは、新しいことを知ったときに喜びを感じる状態、といえます。知ることそのものが喜びであり目的である、という状態です。知るたびに精神的なエネルギーを得られるため、わざわざ別のご褒美を設定する必要がありません。
そのため好奇心は、野心や上昇志向とは全くベクトルの違う心理傾向だといえます。なぜなら、それらはたいてい収入や肩書きなどの報酬を目当てにする際の心理傾向だからです。実際、野心はあるが好奇心は全く感じられないという方を目にしますし、逆に野心は全くないが好奇心に溢れる方もいます。(当然、どちらも持ち合わせている方もいますし、逆にどちらも持っていない方もいます)
野心は成功したときの報酬がモチベーションですので、報酬が得られるまでの期間が長すぎる場合、途中で気持ちが続かなくなることがあります。一方、好奇心は知ることそのものが喜びでありご褒美ですので、学習する環境がある限りやる気が枯渇することがありません。
例えば、偏差値の高い進学校に入るためにイヤイヤながら頑張って受験勉強しているA君がいたとしましょう。A君は将来有名企業に勤めたい、という漠然とした野望がありますが、勉強から得られる喜びは一切ありません。この場合、A君には野心はありますが、少なくとも今のところ好奇心はないといえます。
さてこういった場合、私はA君が受験に合格するかどうかより、もし受かった場合にその後勉強が続けられるのかのほうがよっぽど心配になります。なぜなら、A君が目指している学校は進学校であり、入ってからも勉強が必要な状態は何年も続くからです。受験のためと割り切って無理やり乗り切ってしまった場合、その後野心だけで勉強が続けられるかどうかは疑問です。また、そもそも受験前にモチベーションが枯渇して成績がどんどん下がるというケースもありえます。
実際には、入学後に素晴らしい先生に出会い好奇心にスイッチが入る、という場合もありますので、無理やり乗り切ることが悪いとは決して言い切れません。ただ、少なくともこれから継続した努力が必要な事柄について、好奇心が湧くかどうかの予測は必要だと思います。
家庭教師スマートでは、生徒さんがこれから学習する内容に継続して好奇心が持てるような授業を心がけています。つまり、無理やりやる気を喚起するのではく、勉強それ自体が楽しくなるような授業ですね。人によってはその状態になるまでにある程度期間が必要であり、遠回りに感じるかも知れませんが、結果的にはそれが生徒さんにとって最善の道であると私は信じています。
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